JOY AND PAIN

収録曲

1. 螺旋パズル
2. サイレント・ステップ
3. 雨のフォーチュン
4. Kの手帖
5. Night
6. レクイエム
7. Unforgettable
8. 微風
9. Moon Shadow(jazz version)
10. 濡れた髪のLonely
11. オルフェの後身
12. センチメートルの涙
13. Zone

テイチク/コンチネンタル

コメント

正直に言うと、かなり心残りのあるアルバム。収録されている曲は粒揃い。なのに何故?それは「歌」そのものに・・。

発売日を見てもらえれば判るように、半年毎に1枚のアルバムを制作している。当時の僕には無理なスケジュールだったのかもしれない。しかもヴォーカル録りの最中、「Love in the afternoon」というビデオまで撮っていた。その中の一場面で、デビューしたての女子プロレスラー・ダイナマイト関西(当時のリングネームはミスAだったと思う)に本牧埠頭に投げ捨てられるシーンがあり、止せばいいのに1月の深夜の海に代理なし(つまり僕本人)でダイブしたのでした。当然風邪をひきました。喉のコンディションは最悪!でも発売日は変えることが出来ず、荒れた喉のテイクが世に出てしまったわけです。健康管理にはその後も苦しめられることが多々あり、プロの世界の厳しさを身をもって知ることになるのでした。

さて、内容はと言うと、1、はその頃はまっていたフィリー・ソウル・サウンド。恋は切ないパズルですね。2、は学生の頃大好きだったベイエリア・ファンクというかブラス・ロック。実はこの曲はアマチュアの頃の【ATOM】というバンドのレパートリー。激しい物も好きだった片鱗が見え隠れしています。

3、は名曲ですね。もの凄く悲しい歌。「missing」の録音の時にはもうあった曲で、2枚目のために取って置いた秘密兵器の曲でした。「missing」に収録されていたらどうなったでしょうか?

4、松井五郎さん独特の詩の世界。男は女々しいのです。5、地味に大橋純子さんが参加している。上手い!歌の上手さもさることながら、人間性も素晴らしく、今でもよく誘いあって呑みに行ったりします。佳作ですね。

6、ゴスペル色の強い作品。切ないと同時に力強い。小林麻美さんの詩と吉田美奈子さんのアレンジが光る!7、はボズを意識しすぎでしょうか?でも好きな曲です。

8、夏ですね。レトロなビートがステキ!9、はもっとメロウな世界を作りたかったのですが・・、それでもBig Bandの独特な世界観は生きていますね。

10、地中海へようこそ・・、でも詩の世界は6畳一間のアパート。切ないというより悲しい歌。こういう感覚は味わいたくないものですね。11、は新富町の音響スタジオ屋上でパーカッションを録音するという暴挙に出た珍しい作品。良い音が録れれば何でも有りなのです。これも名曲ですね。夏のお祭り、夜店の賑わいを思い浮かべてしまうのは僕だけでしょうか?

12、隠れた名曲!本当はシングルカットしたかった。僕の本質はこういう爽やかでちょっと切ない物にあると思っているのですが・・・。違うかな?

13、は中東の陽炎が立ち昇る景色をイメージした曲。退廃と荒廃、そこに残る心という希望。って感じでしょうか。

とにかく人気の高いアルバムのようで、「missing」や「JOY AND PAIN」のようなアルバムをまた作ってください、という声がよく届きます。心残りがあるとはいえ確かに粒揃いの良いアルバムです。どのアルバムもそうですが、同じものは二度と作れないし、作りたくないのです。(自分の作品の二番煎じを作る気にはなりませんよね?)

「missing」よりも僕の音楽的ルーツが色濃く反映したアルバムです。大人っぽい物をやろうという意気込みを自分では感じます。ライヴでもこのアルバムからのナンバーを歌うことが多い気がします。なんだかんだ言ってもお気に入りのアルバムなのでしょう。

ちなみに、ジャケット違いのCD、LPがあります。LPは2枚組みで、曲順が違います。ジャケット写真は九十九里浜で地中海風に撮ろうとしたらしいですが、はっきり言って失敗したな(笑)と思います。