With Strings

収録曲

1.Femme Fatal
2.なにも云わないで-No Apology-
3.ヘヴン
4.オルフェの後身
5.月の舟

テイチク/コンチネンタル

コメント

個人的に言えば、最も好きなアルバムのひとつ。作品から自分自身が消えてしまわない限り、どんな曲でも歌いたいしどんな人とも組んでみたい。例えば秋元康さんとピチカートVの小西康陽さんは180度(それ以上?)違うタイプのプロデューサーだけど御二人との作業は面白かったし、新しい要素はあったにせよ『池田聡』が消えたり霞んだりすることは無かった。

 そういう意味でもこのアルバムは画期的な逸品。セルフカヴァー集としてここまでやれたことは奇跡に近いかもしれない。何故ならポップスの名を借りた「現代音楽」であるからだ。こりゃー、アンケートでの人気投票結果が低いのも仕方ないか?

 1、は男っぽかったオリジナルの雰囲気は微塵もない。あくまでも高貴で凛としている。何故かゴッホの「落穂拾い」(だったっけ?)を思い出してしまう。気高く孤高である。マライアの清水靖晃さんの狂気と調和。オケと戦いました。でも負けるわけないよ。

 2、はアフリカの草原。オリジナルより強い主人公が立っている。やはり孤独で気高い。まるでジャングル大帝のレオみたいな感じ。オリジナルのように感情に素直に響く、特に歌詞が入りやすいサウンドではないけど、この頃の僕にはこの強がり方が合っていたのだと思う。チェロ奏者の溝口肇さんは不思議な人です。

 3、はエキセントリック。バイオリンの持つ危なさがこの曲にぴったり。ドライブ感も最高。静と動。中西俊博さんの普段あまり見せない狂気が僕の声に絡んでいます。

 4、は脱帽。バンドと「せーの」で録った歌が一発でOK。エンディングも演奏自体が音を小さくしていって消えている“セルフ・フェイドアウト”という離れ業。橋本一子さん最高でした。何が?って、あの‘インチキ・フレンチ・ウィスパー’がですよ!(もう時効だよね。)最も好きな曲かも。

 5、はしてやられた。このアルバムのコンセプトはタイトルどうり「with strings」。つまりストリングスアンサンブルに乗せてこれまでの名曲をセルフカヴーしようというもの。弦楽4重奏とかオーケストラとかは想像してたのだけど、マンドリンオーケストラとは!!マンドリンも弦楽器に違いない。このアイディアを思いついたのが「coba」ことアコーディオン奏者の小林靖宏さん。そして胡弓。これで一気にアジアとヨーロッパが繋がりました。僕もオリジナルより伸びやかに、大陸的に唄ってます。

 このアルバムのアイディアを思いついたとき、自分に感動したものです。(江古田のブルースバーで飲んでいていたときひらめいたんだな。何でだろ?)自分が好きなものと人が好きなものが必ずしも一致しないってことがちょっと残念、って思った(今となっては)「裏・池田聡」の傑作。