The Very Best Of ICE BOX

収録曲

01, 名前
02, 冷たいキス(lemon taste mix)
03, ICE BOX GIRL
04, フワフワ
05, Sun Flower Fields
06, 七夕
07, Jam Session#1~みだらにダンス~
08, ガンジス河へ
09, Jam Session#2~ウッキーのヘルメット~
10, RISE
11, 荒野のダンディー(The Cowboy Song)
12, 天国のクリス
13, Jam Session#3~Inter play~
14, 方舟
15, 経験したいお年ごろ(baking powder mix)
16, Jam Session#4~Welcome to this place~
17, 落日

meldac

 

コメント

このアルバムについては、好き嫌いの分かれるところがあるかもしれない。僕がリードヴォーカルを取っているのは1曲だけだし、変な曲(?)がたくさん入っているし(笑)。

正直に言って、勝手に作られたグループ。実は僕たちメンバーの意思とは関係なく結成されたという裏話を持っている。そういう経緯に激怒したメンバー(誰でしょう?僕ではないよ!)も中にはいるが、契約が(知らないうちに・・・)済んでしまっているのだからやるしかない。やるならば最高のものを、掌の上に乗せられてしまったのならばそれを逆に「ありがたい」と思おうと、ポジティブに思考を変えて、勢いだけで突き進んだ結果生まれたのがこの傑作なのだ。(こういうところ芸能界ですな・・、我が事務所は。※前の所属事務所です)

クレジットを見ると詞曲全編にわたってメンバーの名前ではなく「ICEBOX」という表記になっている。(プロデューサーの秋元康さんと「RISE」の高尾直樹さんの作詞、アレンジ&作曲で有賀啓雄くんのクレジットは入っています。)本当は組み合わせが色々あって、例えば伊秩くんと圭三くん二人の共作曲で僕が作詞していたり、圭三くん作曲に僕の作詞、伊秩くん作曲に僕の作詞、僕の作曲に吉岡さんの作詞、伊秩くんと僕の共作曲等など今では実現困難なものになってしまっています。とにかく4人がほぼ4等分ずつ作品を作っている。

1は意表を突いたア・カペラでスタート。何でも裏を斯いてやろうという天邪鬼の目論見。成功したかな?
2は言わずと知れた大ヒット。レコーディングもこの曲から始まった。
とにかくスタジオは楽しくがモットー。音に出てる。僕のたっての願いで実現した斎藤誠さんのギタープレイに全員が痺れた!

3はこれぞ全員の共演。アルバム中の傑作!4はよく耳を澄ますと冒頭に伊秩くんのピアノに吉岡さんの歌うデモ・テープバージョンが入っている。翌日レコーディングする曲をその場(スタジオ)で作ったときのもの。(そんな曲がほとんどです。)とにかく4人のスケジュールを合わせるのが大変だったので、こうしてやりくりしていたのだ。フワフワというタイトルどおり不思議な浮遊感のある歌。5はギリシャ神話がモチーフ。でも神話というより童話っぽい。シュールな世界観。

6は、やはり傑作。僕は伊秩くんの声がとても好きで、彼はとてもRock’n Rollな人なのだけど、ミディアム・スローのバラードを歌うととても似合う。圭三くんの実兄が某予備校の古文の講師で、ちょっと知恵をお借りした。和風なような洋風なような、不思議な魅力のある作品。

7はお遊び。コラージュ、サンプリング、発想の逆転。ICEBOXはアイデアの宝庫。8で言葉遊びは益々加速。9でお遊びも崩壊寸前。でもそれは10という傑作への序曲だったのです。圭三くんは洋楽っぽい感覚が魅力のひとつだけど、何故か英語詞を歌っていなかった。天邪鬼はそこに目を付けたのでした。歌詞も深い。良い曲です。

ICEBOXでは自分たちが普段歌わないような詞の世界を展開している。11は西部劇。ライヴ向きの歌ですね。「名前」がインストルメンタルでリプレイされている。凝ったアレンジ。12の隠しタイトル(本当のタイトル?)は「天国のクスリ」。「オブ・ラディ、オブ・ラダ」調の曲に「ルーシー・イン・ザ・スカイ」のような詞。シニカルに、そしてこれもシュールに決めてみました。

13はブラス・ロック。ドリフの場面転換の時の曲みたいなもの。14はレコーディングの初めのほうに録音したのに歌詞が2ヶ月間完成しなくて、とうとう歌録り30分前という時に10分くらいで書き上げたというエピソードを持っている。手塚治虫さんの「聖書物語」がスタジオの片隅に置いてあって、それがヒントとなった。

15のような古めかしいタイプのロックが好きだ。「冷たいキス」のシングルのC/Wと歌詞違いだが、未発表の歌詞違いバージョンもある。とにかく伊秩くんは最高。16はここまで聴いてくれたことに対する感謝の歌。

17はやはり傑作。2曲目のシングルだったがタイトルがコマーシャルにとって嬉しくないとのことで、もめた。(僕は2曲目のシングルは、「ICE BOX GIRL」が好いと言ったのだけど・・・。)本当に泣ける歌です。

以前から僕は、音楽は虚と実、遊びと本気、リアルとシュール、不良性、コラージュ、サンプリング、構築と破壊、美と醜、コメディとトラジディ、そしてパロディなどの精神が内包されされるべきものと思っている。自分の作品でも時々思い切ったことをしている。そう云えば、このアルバムは全編を通して、「ビートルズ」をイメージしている。しかし、メンバー4人も有賀くんも誰一人アマチュア時代にビートルズをちゃんと通っていないのだ。(もちろんビートルズはとても好きだし、この時に凄く研究しましたけどね。)だからこそ出来た「偽・パロディ・ビートルズ」。自分のアルバム以外の場所で、思い掛けないタイミングで考えていることを実現できたわけで、だけど、それはある種の反省点ですね。

しかし、大人の事情を乗り越えて、遊び心満載の傑作アルバムを作れたと思う。タイトルからしてふざけている。最初で最後のアルバムなのにベスト盤なのだ。こだわりや偏見を捨てて、聴いてほしい作品。本当に良く出来ていると思う。