君を忘れない
収録曲
1.FOR YOU AND I
2.Long Summer Night
3.fuzzyな天使
4.僕は君じゃない
5.10月のひまわり
6.僕たちの約束
7.砂の睡り
8.Snow Waltz
9.My memories
10.prayer
11.君を忘れない
テイチク/コンチネンタル
コメント
何作もアルバムを作っているといわゆる”新境地”を求めたいという欲求が起きてくる。それがこのアルバムの前作「SWIMMER」だ。そしてさらにステップアップを試みたのがこの「君を忘れない」。
その試みの一つ、1、はいきなり洋楽のカバー。プロフィールのページでも触れたとうり、二十歳前後から僕は洋楽フリークだった。プロになってさらに拍車がかかっていた頃だったのでより力が入っていた。若気の至りである。2、は伊秩弘将(現・speedのプロデューサー)との出会いの曲で、このときプロデューサーとして参加してくれたギターリストの佐橋佳幸さんの推薦だったと思う。伊秩はこの頃から非常にパワフルな男で、はじめて会ったときから大好きになってしまった。
3、は少しだけラテンの香りのするナンバー。percussionにオルケスタ・デ・ラ・ルスの創始者大儀見元に参加してもらったりしている。そう言えばこのアルバムはほぼバンド形式で録音されている。歌詞カードの後半のページに写真で紹介されたメンバー達だ。皆強力な一流スタジオミュージシャン。オソロシイ・・・。
5、9は佳作。個人的にとても好きなナンバー。こういう地味だけど良い曲というのはひっそりと咲く花々のように忘れられないナンバーだ。
4、はこのアルバムからのシングル曲。作詞の及川眠子さんはとある作品で非常に感銘を受けた人で、「SWIMMER」に引き続き参加してもらった。ライブではおなじみの名曲。7、はブレイク前のピチカートⅤから小西康陽さんに作詞者として参加してもらった。小西さんに対して僕はかなりのファンだったので是非にとお願いしての参加で、2作後の「至上の愛」でのフルプロデュースにつながってゆく。
8、10、は思い入れの深さではこのアルバム随一の作品。実は8、の当初のイメージは冬の星空だったのだが、その星降る景色を雪に置き換えて書き上げた。はじめに付けたタイトルは「沈黙の世界」。なんか硬すぎるなということで「snow waltz」に変えたわけだ。めでたしめでたし。10、は奇跡的に出来た曲。メロディーは出来ていたのだけど言葉が難産、ずっと出そうで出ない便秘状態。そんなある日、恵比寿での打ち合わせを終えて何とはなしに渋谷方向に歩いていった明治通り、急にはじめから終わりまでノンストップで歌詞が出てきたのだ!出産に例えれば道端で産気づきそのまま生んでしまったような驚き!メモるために入った喫茶店で一気に、ほぼ9割以上手直し無しで書き上げた。こんなことってあるものなんです。
11、は”天才”井上ヨシマサと組んだ作品。11曲目に置いたのがもったいない名曲。このイントロはオープニングでも良かったかもしれない。
アルバムジャケットもお気に入り。僕にとっても大切な一枚。